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2015.12.13 Sunday

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    2014年の反省と2015年の抱負

    2015.01.03 Saturday

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      新年のご挨拶を申し上げます。


      碧香堂の営業開始は1月5日ですが、個人的には本日が仕事始め。
      (と言っても、明日以降はしばらくお仕事できないのですが。)
      まずは昨年を振り返り本年の抱負をまとめようと、パソコンを立ち上げてみました。


      2014年はとにかく忙しい1年でした。
      アトランタやパリへ行き、碧香堂事業の立ち上げに奔走したと思えば、
      愛知県よろず支援拠点での勤務が突然始まり、補助金の申請締め切りもあって大忙し。
      同時に、家庭や婚家での役割が増えるなど、
      自分自身の時間が全く取れない時期も長く続きました。

      勤務が始まった当初は、1日勤務すると次の日は1日寝込むくらい疲労していましたが、
      徐々に慣れることができました。
      相談業業務では「わざわざ出向いていただいた時間を無駄にしない」をモットーに真摯に対応していたところ、
      徐々に支持いただき、多くの方に何度も相談に来ていただくことができました。

      さらに、IT業界でのプロジェクト運営経験を活かした組織運営や
      創業の際に「こんなサービスがあったらよいのに」と思ったサービスメニューを実現するなど
      今までのスキルと経験を活かした業務にも携わることができ、
      一人で事業を営んでいる時には感じられなかった「組織としてサービスを提供する安心感・充実感」を得ることができました。

      私は息子との死別以降、極力人付き合いを避けてきたのですが、
      「この人の力になりたい」「この人のことをもっと知りたい」という感情を久々に思い出し
      少しだけ死別以前の自分を取り戻せたような気がしています。



      そんな機会に恵まれ、多くの事業主の方に出会う中で、
      私は徐々に「価値あるサービスが提供できる事業者になりたい」と思うようになりました。

      「素敵だな」と感じる事業主の方は、その人にしかできないサービスを提供しています。
      需要もあるし、その会社にしか提供できない仕組みを構築している。
      そういう事業に出会うと、私は「力強さ」を感じます。
      現在の収益はともかく、地道にその路線でやって行けば成功するだろうと思える強さを持っています。

      対して、現在の碧香堂事業は、思いつきを持ち前の行動力で無理やり実現しただけのもの。
      私でなければ提供できないサービス・ビジネスモデルには程遠く、
      年月を積み重ねなければできない厚みや、「お!」と思わせるひねりがありません。

      今はまだ、どうすればよいのか分かりませんが、
      今の仕事を続けて行けば、そのヒントに近づけそうな感触は感じます。
      遠回りかもしれないけれど、今はきっと広く学ぶ時期なのだと思います。


      2015年も(少なくとも前半は)とても忙しくなりそうな気配。

      とりあえずは、与えられた場所と立場で、職務に邁進し、
      「価値あるサービスが提供できる事業者」を地道に目指したいと考えています。


      ANNA GRIFFINのカード(9)注文

      2014.11.25 Tuesday

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        お取引に至らなかったとあるキャンドルメーカーとの交渉のお話は終了。ようやくANNA GRIFFINの再登場です。

        【今までのお話】
        ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
        ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
        ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
        ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
        ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
        ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
        ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備
        ANNA GRIFFINのカード(8)商談

        青りんご青りんご青りんご青りんご

        ぐっすり寝た翌日。私はANNA GRIFFINのブースへと出かけました。

        今回の商談で私は「気に入った企業と取引していただけるのはそれだけで幸運」ということを学びました。

        アトランタに滞在できるのはもう今日だけ。
        カタログの入手にこだわっている場合ではありません。
        注文を受け付けてもたえるのならば、注文してしまおう。
        そう決めて、相変わらず華やかなブースに足を踏み入れます。

        「はぁい、ガール!」
        グラマラスな美女が私を快く迎えてくれます。

        彼女をがっかりさせたくないので、私は最初に断ることにしました。
        「こんにちは。私は今日、カードの注文に来ました。
        どのカードも素敵なので迷ってしまうと思います。私に時間をください」

        彼女はにっこり笑っておっしゃいます。
        「ええ、どうぞ。好きなだけ時間を使ってちょうだい。でも、助けがいる時は声をかけてね」

        さて、どうしたものか。
        私にはバイヤーとしての経験がほとんどありません。自分の直感だけを頼りに選んでいきます。

        まず、一目ぼれした黒のレースとリボンのカードを選びました。
        これぞ、私が抱いていた「素敵な喪のギフトがあってもよいのではないか?」というテーマへの解だと思ったカードです。

        次に、シンプルでかわいいエンボスカードを選びました。
        デザインがとても私好みですし、お手頃価格なのでカード文化が根付いていない日本でも受入れられそうです。
        4色のバリエーションがありましたが、喪のシーンにぴったりのグレーと、碧香堂のテーマカラーの紺色を選びます。

        価格帯に幅があった方がよいでしょう。
        もう1つ、リボンのついたゴージャスなカード達から1つ選びます。
        素敵なデザインが多くて、悩みに悩みましたが、 アイボリーの幅広レースが印象的な四角いカードを選びました。
        少し高価かもしれませんが、クオリティーを考えるとむしろコストパフォーマンスがよいと思ったからです。

        今回は、はじめての取引なので、教科書通り最低注文価格での注文を狙います。
        そうすると、円状のレースのこのカードがぴったり。
        日本では見たことがない個性的なデザインですが、先般苦労してタイで入手したお花のろうそく箱入りギフト
        雰囲気もぴったりあいます。

        悩ましいのは、色のセレクト。
        このカードには、ゴールド(金)、黒、灰色、アイボリーの4色がありました。
        まずゴールドは除外するとして、黒か灰色かアイボリーか。
        他とのバランスを考えるとアイボリーも悪くありません。
        でもこの素敵なレース模様が引き立つのは黒。しかし黒は既に選んだ他のカードとイメージが重複します。
        となると灰色もいいです。碧香堂は紺色の包装紙を使う予定なので、色が映えそう。
        ショップスタッフの彼女に相談すると、「ネイビーにはこのグレーが合うわ」と断言されたので、
        灰色にすることに決めました。

        (と、文章にするとすんなり決まったようですが、実際には目移りしたり、計算し直したり、
        てんやわんやでした。)

        このブースは、ハンディ端末での注文。
        ディスプレイに注文内容が表示され、確認できるのが安心でした。



        そして帰国。
        送料の確認を行い、いよいよ輸出していただくことになりました。
        ドキドキしながら待つこと約10日間。

        ようやくカードが届きました。
        梱包は完璧。破損もありません。心配だったリボンもつぶれていませんし、
        実物が確認できなかったエンボスカードの紺色もいい色合いです。

        しかし5つ目のダンボール箱を開封した私は自分の目を疑ってしまいました。
        ゴールドのカード
        これ、ゴールド・・・・。

        色を間違えてしまうのは仕方のないことかもしれませんが、よりによってゴールドが届いてしまうとは。
        私は急いでミプロの貿易アドバイザーに相談し、メールを出すことにしました。
        「私はグリーフケアのギフトショップなのでゴールドは売れません。
        注文した灰色に交換してください。在庫がないのならば、黒かアイボリーでも構いません」と。

        その後すったもんだがあり、発送したと言われたのですが、その荷物がちっとも到着しなかったり、
        紆余曲折ありましたが、なんとか私は注文通りの灰色のカードを入手することができました。

        青りんご青りんご青りんご青りんご

        本日、他のカードに遅れて公開したのが、このANNA GRIFFIN レースサークルカード【グレー】です。
        ケース入りの10枚セットもございます。

        通りすがりのアドバイザー

        2014.10.06 Monday

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          アトランタで見つけた素敵なキャンドル。

          参考:過去の記事
          ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
          ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
          ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
          ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
          ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備
          ANNA GRIFFINのカード(8)商談

          強引な自己PRでオーナーとの会談にこぎつけた私でしたが、
          「イギリスの代理店を通して買ってくれ」
          と、直接取引を断られてしまいました。

          帰国後、イギリスの代理店にメールをしてみましたが、
          返事がありません。

          ジェトロに相談に行くと「どんな魅力的な商品でも、相手があなたと取引したいと思ってくれないと取引は成立しない。
          そんな失礼な態度をとる会社と取引をしても何も良いよいことはない」
          とアドバイスされてしました。

          その後、東京ギフトショーに参加して、国内のメーカーとも商談しましたが
          「実店舗のないネットショップのみの会社とはお取引できません」
          と断られること多数でした。

          「買いたい」と言い、お金さえ支払えば売ってもらえるものだとばかり思っていた私。
          どうらやこの業界では、そうではないようです。
          どうしたものか。

          そんな風に悩んでいた時、友人がお気に入りの飲み屋さんに連れて行ってくれました。
          美味しいお魚を堪能していると、たまたま隣の席に居合わせた常連さんに
          話しかけられ、友人に「私の友達です。彼女、起業準備中なんですよ」と紹介されました。

          なんでもその常連さんは起業して7年。
          様々な事業を試した挙句今はエステの会社を運営しているのだそうです。

          聞かれるままにアトランタでの顛末をお話しすると、
          「僕だったら最低注文金額を聞いて、半年時間をくれと言う。
          そしてその半年間で買い手を見つけて輸入する」
          と言われました。

          なるほど。契約を成立させるには、そういう方法がベストなのでしょう。
          商売に向いている人の発想はこうなんだ、と目から鱗でした。

          けれど私はそんなリスクまでとって、大口の取引を成立させたいのではありません。
          遺族の方がもらって心が慰められるような「グリーフケアギフト」の習慣を
          日本に根付かせることが私の目標です。


          そしてその1か月後、私は成田のタリーズで見知らぬ外国人と同席になりました。

          お互い「このテーブルは空いていたと思っていたのに、先客がいた」みたいな状況。
          譲り合った挙句、シェアすることになりました。
          「なんだか気まずいなー」と思って「どこから来ましたか?」と話しかけたところ、
          彼はシンガポールに住むアメリカ人とのことでした。

          「奥さんはシンガポールの人なの?」と聞いたら
          「いいやアトランタの出身だ」とのこと。
          「あら、私先月アトランタへ行ったばかりなのよ」と答えたところ、
          大変驚かれ「アトランタへ?!何をしに?」と言われてしまいました。


           ”余談ですが。
            アトランタってそんなにマイナーな都市なのでしょうか。
            デトロイトでの入国審査で「アトランタへ行く」と答えたところ
            「アトランタ?何をしに?!」と審査官にいぶかしげに聞かれたのでした。”
          成田空港

          コーヒーを飲みながら今までのいきさつを話したところ、彼は次のように話してくれました。

          「流通業界は、君のいたIT業界とは異なる性質を持っている。
          力のあるメーカーほど、取引先に格を求める。
          IT業界では、スキルさえあればどんな大企業とでも取引できるのだろう?
          ところが流通業界ではそうではない。
          よい品を扱いたければ、よい企業になることだね。
          よい企業と言うのは、沢山売れる企業ではない。
          客層がよい企業という意味だ。
          魅力的な企業になれば、今度は逆に取引先から売り込みがくるようになるよ」

          そんな彼は、某有名デューティーフリーの店長で、
          本社での店長会議に呼ばれ、その帰り道なのだそうです。

          彼がコーヒーを飲み終わる前にアナウンスが入り、
          「僕の搭乗の時間だ。話せてよかった。君のビジネスの成功を祈るよ」と言うと、
          タリーズのコーヒーを片手に去って行きました。


          なるほど。私のいたIT業界でエンジニアに求められていたのはスキル。
          けれど流通業界でバイヤーに求められるのは別のもの。
          それが何かは分からないけれど、今の私にはチャンスを捕まえることはできても
          契約に結び付けれなかったのは、その何かが足りないからなのでしょう。


          こうして私は、偶然テーブルで隣り合わせた2人の商売人から、商売のヒントを得たのです。

          青りんご青りんご青りんご

          何故私が成田空港にいたのかというと、韓国に例のキャンドルメーカーの代理店を視察に行く途中だったから。

          次回はそのお話をお届けします。

          ANNA GRIFFINのカード(8)商談

          2014.09.30 Tuesday

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            お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その6です。

            【今までのお話】
            ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
            ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
            ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
            ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
            ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
            ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
            ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備

            青りんご青りんご青りんご青りんご

            ミプロのミーティングが始まりました。
            ミプロはの正式名称は一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会。
            小口輸入をサポートする公的な組織です。

            ミプロは、商売をされている法人を対象に海外の見本市へのツアーを開催しています。
            職員の方に「個人の参加は難しいのでしょうか」と相談したところ
            「過去には個人でも参加した方がいるので、申し込んでみては?」と言われ、
            私は様々な書類を作成し、参加権をゲットしたのでした。

            【参考】ミプロHP:http://www.mipro.or.jp
            ※このツアーは例年行われる予定です。詳細発表は11月頃の様子。


            ツアーは現地集合・現地解散ですが、
            見本市主催団体から、隣接するホテルに3泊分の無料宿泊のプレゼントがあります。
            そして、ミプロの貿易アドバイザーさんが商談に同行してくださるという、初心者に嬉しい特権があります。

            超初心者の私は、バンコクでの見本市での経験から、
            3日間では商品を見極めを行うことができないと判断し。
            個人的にツアー開催の5日も前から会場入りしてこの日に備えてきました。

            ミーティングは、代表のあいさつと注意事項・商談の進め方と参加者の自己紹介が主なアジェンダでした。
            参加者は1人あたり2回、貿易アドバイザーさんの商談同行サービスが利用できると説明がありました。
            既に商談希望日時が決まっている私は、早速「今日の午前と午後2時」のアテンドを予約しました。
            明日はもう同行してもらえなくてもいい!と割り切ります。

            午前中は、もう1つ気になっている商品がある会社との商談に宛て、例のキャンドルメーカーを下見。
            そして約束の午後2時。

            私は、お昼ごはんもバイヤーラウンジで振る舞われる軽食で済ませ、
            ぎりぎりまで修正したプレゼン書類を持って、あのキャンドル会社のブースへ向かいました。
            緊張しますが、経験豊富な貿易アドバイザーさんが一緒なので心強いです。

            既に、ブースのテーブルには、昨日会ったイケメンオーナーとセールスマネージャーが着席していました。
            書類を広げ、何やら数値を書き込みながら話し合っていました。忙しそうです。

            先方2名・当方2名の合計4名で挨拶を交わしながら、
            さっそく貿易アドバイザーさんが今回のミプロツアーについて説明してくださいました。

            「我々は公益団体で、今回はアメリカ大使館商務部の招待でアトランタに来ている。
            Ms.Katoは特別に審査を通過した有望な起業家である」とさりげなくPRしてくださいます。

            最初に態度が変わったのはセールスマネージャーでした。
            彼は、瞬時に貿易アドバイザーさんの英語力と経験値を見ぬき、私を無視して会話を始めます。
            手短に、商品と会社の概要を説明し、すぐに取引条件に話題が移動します。

            展開が早い。
            これがプロ同士のスピードなのでしょう。

            私は商談主として、ぼーっと成り行きを見守っている訳にいきません。
            おいてきぼりをくらった格好のオーナーに、持参した資料をお見せします。

            1枚目の資料のタイトルは「御社の物流の最適化を提案します」。

            世界地図に、キャンドルメーカーの本社工場・アメリカ某州、イギリスの代理店の場所、そして私の名古屋をポイント。
            それぞれのポイントの間を曲線でつなぎ、所用マイルが付け加えました。

            ネットを使って、各ポイントの住所まで調べたので、おざなりな地図ではないことが分かります。
            また、地図は日本式の太平洋を中心とした地図を選んだので、
            アメリカ人にとっては普段とは異なる視点で世界を見ることになるよう工夫してあります。

            貿易アドバイザーさんがセールスマネージャーに「彼女の為に、特別に直接取引してくれないか」と言ったところ、
            セールスマネージャーが顔色を変えてまくしたてはじめました。
            「既にある契約は変えられない。オーストラリアだって韓国だってイギリスの代理店を通じて取引してもらっている。
            我々は南北アメリカ内の取引に集中することでグループの結束を図ることを優先しているのだ」
            というようなことを話しています。

            半分は聞き取れていないと思いますが「コントラクト(契約)は絶対だ」という単語は確かに聞き取れました。

            まだ私が何も話していないのに、会話が白熱しすぎています。
            当事者として介入のタイミングです。何か言わなくちゃ。

            私は「ちょっとまってください」と言いかけましたが、英語を組み立てているうちに一瞬言葉が詰まりました。

            その時、思わぬ援護者が現れました。

            私の資料を意外な様子で見ていたオーナーが私の様子に気づき、沈黙を破って
            「彼女の主張はちょっと違うみたいだよ」と声をかけてくれたのです。

            セールスマネージャーと貿易マネージャーさんがはっと黙り、こちらに視線を送ります。
            会話の主導権をつかむチャンスです。

            私は資料をセールスマネージャーにも渡しながら、流れを離さないように話し続けます。
            「私は商流でなく、物流についてお話をしたいです。
            この地図のように、御社から日本へは直接輸送した方が効率がよいはずです。
            既にある契約を変えることが難しいのは知っています。
            私は13年間IBMで働いてきたので、アメリカ社会における契約の重要性を理解しています」

            セールスマネージャーが「フン」と私を一瞥し何か言いかけたのを遮って、
            オーナーがゆっくりと私に説明しました。

            「あなたの言うことはもっともだが、実際に今我々が日本へ輸出するとなると、
            輸用会社の契約により、サンフランシスコを通さなければならない。
            本社工場のある州からサンフランシスコまでの距離と、
            ロンドンへの距離はあまり変わらないのです」

            は?サンフランシスコ??
            いきなりサンフランシスコと言われても、ゴールデンゲートブリッジとナパバレーと、
            チャイナタウンの飲茶しか思い浮かびません。

            理解できない私を察知した貿易アドバイザーさんが、すかさずオーナーに聞き返します。
            私にも分かるように簡単でゆっくりとした英語です。

            「サンフランシスコですか。それは船便だからでしょうか?
            なるほど。なるほど。ご契約されている運送会社との取り決めですね。

            しかし契約を変えることは難しくても、彼女が主張する物流だけを変えるという提案は
            考える余地があるのではないでしょうか。
            あなた方も御存知の通り、商売を始めるというのは様々な困難があります。
            ビジネスをはじめたばかりの人間にとって輸送コストは大きな問題です。
            はるばる日本から来た彼女に、チャンスをあげてみませんか?」

            オーナーは頬杖をついて何か考えているようでした。
            セールスマネージャーは成り行きを見守っています。表情は相変わらず不服そうですが。

            私も必死で言い添えます。
            「韓国やオーストラリアの販売会社もそれを望んでいるのではないでしょうか。
            我々のビジネスだけでなく、エコロジーのためにも」

            実際には昨夜、一生懸命辞書をひきながら考えぬいたセリフですが、
            当意即妙に受け答えしたように聞こえます。

            「エコロジー?」とオーナーとマネージャーが聞き返します。
            「エコロジカル、環境」貿易アドバイザーさんが補足し、
            私はあわてて「グリーントレードだ。未来の為にも環境のことを考えないと」付け加えます。

            「エコロジーか。なるほど」
            オーナーが笑みをこぼしました。

            あら、ちょっと付け焼刃がばれちゃったかしら。

            場の空気がほころんだ直後、オーナーが笑顔のまま切り込んできました。

            「2トン。

            では、2トンでどうでしょうか。
            2トン購入できるなら、あなたの提案を受け入れます」

            オーナーは頬杖をついてあごのしたで手を組みじっと私を見つめています。
            私の表情のどんな変化も見逃さないようにしているのでしょう。

            しかし私は「2トン」という言葉を聞いた途端、途方にくれてしまいました。

            2トン・・・・?
            2トンてどれだけの量なんだろう。
            重さは分かるけど、体積は?
            あ、2トントラックくらいの大きさなのかな・・・?

            私には、かろうじて状況を把握するだけの分別が残っていました。
            表情を変えないよう、頑張って涼しいまま顔のまま「1分ください」と英語で言った後、

            日本語に切り替えて貿易アドバイザーさんと内緒話です。

            「2トンて一体いくらくらいなんでしょう」
            「さあ。でも金額じゃなくてハンドリングの問題だよ。買っても売れないのでは?」
            「資金はありますが、保管する場所がありません」
            「最初の取引での無理は禁物です。冷静に」
            「そうですよね」

            そして改めて表情をつくり、オーナーに向かって言いました。
            「私は、2トンは買えません。今は」
            かろうじて「今は」を付け加えるのが、精一杯の虚勢です。

            オーナーは微笑を残したまま眉の両端をわずかに下げ、残念そうに言いました。
            「分かった。じゃあ仕方ない。
            イギリスのリチャードと交渉してくれ」

            セールスマネージャーはシニカルに笑いながらちゃっちゃと書類を片付け始めます。
            「はい、終了!」とばかりに張り切って。


            ちょっとまって!

            私の本題が残っています。

            私は「もうちょっとだけ待って」と言いながら、慌てて
            1枚目の資料をめくって2枚目の資料を見せました。

            2枚目の資料は「私をリチャードに推薦してください」というタイトルで、
            「取引への想いと、連絡先」が書いてあります。

            さっと目を通したオーナーがにやりと笑いました。
            「こいつは最初からこれが目的だったのか」と理解したようです。
            英語の資料を用意しておいてよかった。
            口頭だと1分はかかるところを、資料を見せるだけなら数秒で済みます。

            「OK,わかりました。
            リチャードに連絡しておきましょう」


            切り上げのタイミングです。

            私は席を立ち、オーナーに握手を求めながら言いました。
            「チャンスをくれてありがとうございます。
            数年後には直接取引していただけるよう頑張ります」

            貿易アドバイザーさんが付け加えます
            「代理店の方に彼女が有望な起業家であることを言い添えてくださいね」
            と。


            私たちは握手をかわし、ブースを去りました。

            広いアメリカズマートの中を歩いて、バイヤーズラウンジに戻ります。
            貿易アドバイザーさんは、この後すぐに他の参加者の方の商談に同行される予定になっています。

            ラウンジに戻った私は、改めて貿易アドバイザーさんにお礼を言い、
            次の商談に向かう一団を見送りました。

            私はドリンクコーナーにあったホットチョコレートで一息つくことにしました。
            休憩コーナーのゴージャスなソファーに腰をおろし、ゆっくりと暖かいチョコレートドリンクを
            口に含みます。

            ・・・・美味しい。

            甘いカカオの香りが、私の高ぶった神経を和らげてくれました。

            「とりあえず、今の自分にできることは全てやった」

            そう思った瞬間、どっと疲れが押し寄せてきました。


            青りんご青りんご青りんご青りんご


            続きます。


            写真はツアー最終日の記念撮影。
            貿易アドバイザーさんとバイヤーズラウンジにて。

            ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備

            2014.09.25 Thursday

            0
              お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その5です。

              【今までのお話】
              ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
              ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
              ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
              ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
              ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
              ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議

              青りんご青りんご青りんご青りんご

              3時間だけ仮眠をとることに決めた私は、しっかり目覚ましをセットして眠りにつきました。
              自分のiPhoneとホテルの部屋にある時計、そしてモーニングコールサービス。
              時差を確認しながら慎重にアラームをセットしました。

              言うべきことは決めました。
              プレゼンテーションと交渉は元々得意です。
              あとはお肌の調子を整え、元気はつらつと行けばOKでしょう。

              連日の疲れもあってすぐに眠りに落ちたはすなのですが、
              目覚ましが鳴る前にはっと目が覚めました。

              「あれ、”輸入ルートを再考してほしい”って英語でどうやって言うんだろう?!」
              そうです。私は日本語で話すべきことは決めていましたが、
              それを英語でなんと表現するべきか調べていませんでした。

              パジャマのまま、iPhoneの辞書アプリを片手に、分からない単語を調べながら
              「英語で何というべきか」を書いていきます。
              お部屋に備え付けてあった、ホテルの便せんの余白が少なくなってきてしまいました。

              能率が悪いこと仕方ありません。
              そしてやはやり口頭では効果的にPRできる自信がありません。
              自分の得意分野を活かすという意味でも、プレゼン資料を作る必要があるでしょう。

              インターナショナルバイヤーラウンジに行こうと思いました。
              あそこには、パソコンとコピー機、そして簡単な文房具が用意してあり、
              各国のバイヤーが自由に使えるようになっています。
              そして朝ごはんのサービスもあります。

              空腹できりきりと胃が痛みだしました。
              私は日本から持ってきた梅のど飴でごまかしながら、
              「ラウンジが開くと同時に飛び込んで、プレゼン資料を作ろう。
              そして朝ごはんもあそこでいただこう」
              私はそう心に決めました。


              朝8時45分。ラウンジの前で待っている私を見つけて担当者が驚きます。

              ”グッドモーニング。今日はまた早いのね!”
              ”おはよう。ラウンジのパソコンを使って書類をつくりたいの”
              ”いいけど、ここのパソコンでは日本語が使えないわよ”

              思った通り、ここのパソコンには英語環境しかないようです。
              しかし私は腐っても元SE(システムズエンジニア)。
              英語Windowsは何度も使ったことがあります。

              幸いMS-Officeが入っていました。
              私はコーヒーと謎のホットサンドの朝食を食べながら、
              3枚のプレゼン資料を作りました。


              1枚目は表紙とアジェンダ。私の連絡先もさりげなく記します。


              そして、2枚目には輸入ルートの件。
              物流の最適化(optimization)というタイトルです。

              私は、卸売・小売り業界の言葉はよく知らないのですが、
              optimizerはIT用語として知っていました。
              データベースのアクセス最適化を行う機能をoptimizerと呼ぶのです。

              商流(契約の流れ)は変えられなくても、物流(モノの流れ)は変えれるし、
              そうした方があなたの会社の為であると書きました。

              アメリカから直接日本まで運んだ場合と、アメリカからイギリスを経由して日本まで運んだ場合のマイルを調べ、具体的な数値で記しました。

              英語環境のパソコンでは検索が困難です。
              iPhoneでJTBのサイトにアクセスし、飛行機ルートを検索することでマイル数を調べました。


              3枚目には「私をイギリスの代理店のD氏に推薦してくれ」と書きました。

              ミーティングの結論であり目的です。
              細かい条件をとやかく話し合うことになっても、私は対応できません。
              私のビジネスの準備状況と、貴重な「オーナーとの直接対談」の機会を得た
              というアンバランスな2つの状況を考えて、この結論が最適だと判断しました。
              この申し出にYesと言ってもらうことが本日のアポイントの目標です。


              必死で書類を作っていて、ふと気が付くと、ラウンジに日本人が大勢いました。

              そろそろミプロ御一行様の集合時間です。

              青りんご青りんご青りんご青りんご


              ANNA GRIFFINのカード(8)商談へ続きます。



              ホテルのお部屋。
              この机で一生懸命資料を作りました。