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2015.12.13 Sunday

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    ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議

    2014.09.18 Thursday

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      お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その4です。

      【今までのお話】
      ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
      ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
      ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
      ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
      ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2

      青りんご青りんご青りんご青りんご

      Bobのブースを後にした私は、カード会社のブースに立ち寄り
      会場近くのコンビニエンスストアでバナナと野菜ジュースを買ってホテルに戻りました。

      まずはシャワーを浴びて心を落ち着けた後、明日の午後2時までの作戦を練りました。

      時刻は夜の9時。
      明日は、朝10時に外国人バイヤー向けのサロンに集合し、ミプロの買い付けツアーのミーティングがあります。
      タイムリミットまであと11時間。
      今夜は多少睡眠不足になっても、明日の商談に向けて全力でシナリオを練るべきでしょう。

      私はまず、いただいたカタログを読み込んで商談相手の会社について知ることにしました。
      カード会社の男性スタッフとその恋人(?)の男性から
      「このオーナーはゲイに違いない」という通常では得難い情報を得た私ですが、
      英語の読解力はイマイチ。
      「パソコンを持ってきていれば、翻訳ソフトが使えたのに」と後悔しながら、
      iPhoneの辞書を片手に分厚いカタログを読んでいきます。

      分厚いカタログに目を通し終えた時、時刻は夜の11時半になっていました。
      学生時代、リーダーの授業をさぼっていた自分を呪います。

      カタログを読んだ結果、
      ・どうやらこの会社は現オーナーが一人で作り上げたも同然らしい。
      ・販売店やパートナー企業への気配りを欠かさない。
      ・重厚な表現を好み、伝統ある企業のように振る舞うことを好む。
      という傾向が分かりました。

      空腹を覚えた私は、日本から持ってきた非常食とバナナと野菜ジュースで夕食を取りながら考えました。

      このような傾向を持つ企業が、私のような起業前の個人と取引をしてくださるとは思えません。

      今の私が仕入れに出せる金額は、最大で100万円。
      しかし、いきなり1企業との取引に全額をつぎ込むのは危険です。

      それに、そもそも仕入れたとしても、そのキャンドルをどこに保管するのか?!

      いただいたサンプルを元に、10万円分購入した場合の容量を計算してみましたが、現在の自宅ではとても保管できません。
      実家に泣き付けばなんとかなるかもしれませんが、保管状態が心配になります。
      そして何より、私はそれだけの量のキャンドルを売りさばく自信がありません。

      コーヒーメーカーでお湯を沸かし、ハーブティーで心を落ち着けます。

      この会社の「ストーリーを持ったキャンドル」は私のグリーフケア事業にぴったりで魅力的ですが、
      自分のこのような準備状態で、明日具体的な金額の話をするのは得策ではないでしょう。
      断られておしまいです。

      ううーむ。

      私はデスクを離れてベッドに横になりました。
      天井を見ながら考えます。

      せっかくオーナーとの直接対談という貴重な機会を得たのです。
      取引を成立させるのは無理だとしても、何か印象は残したい。

      バイヤーとしては未熟なのですから、自分の得意分野で潜在能力をアピールするしかありません。

      私の脳裏に浮かんだのは、かつて所属していた会社の営業さん達の姿でした。

      そうだ、プレゼンをしよう。

      日本人バイヤーから見た取引条件の問題点を指摘し、相手に対して有益情報を与えよう。
      明日は、取引相手として切り捨てられないことを目標にしよう。

      そう決めました。

      ベッドから起き上がった私は、主張したいことを箇条書きにしてリストアップしました。
      ノートも持ってこなかったので、ホテルの部屋に置いてあった便箋といらなくなったリーフレットの裏を使って考えをまとめました。

      与えられた時間は20分。
      ところどころ通訳を頼まざるを得ない状況を考えると
      言いたいことは2つ程度にに絞るべきでしょう。

      考え抜いた結果、この2つをキーメッセージにすることにしました。
      ・アメリカからイギリスを経由して日本に輸入するのは効率が悪い。
      ・英国代理店の代表に私を推薦してくれ。


      ここまで決めたら、時刻はもう午前2時。
      睡魔が襲ってきたので、私は3時間だけ仮眠を取ることにしました。

      青りんご青りんご青りんご青りんご

      ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備へ続きます。

      ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2

      2014.09.11 Thursday

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        久しぶりになってしまいましたが、創業物語の続きです。
        お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その3です。

        【今までのお話】
        ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
        ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
        ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
        ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ

        青りんご青りんご青りんご青りんご

        オーナーはまだあどけなさの抜けない顔をしていて、
        でも目だけは冷静に私を見ています。

        与えられた、というよりもぎ取った時間は1分。
        この時間で、商談の交渉をすることはできません。
        印象を残して「こいつの話を聞いてみよう」と思わせることが私の目標です。

        アメリカ人から見ると、日本人は若く見えると言います。
        彼はきっと私を同世代の女性だと思っていることでしょう。

        私は、この自分のギャップと過去のキャリアを使うことにしました。

        ”私は日本から来ました。昨年起業したばかりです。
        私は2年前までIBMでシステムエンジニアとして働いていました。
        息子を小児がんで亡くしました。そして、喪のギフトを改革したいと考えています。”

        ここまで話すと、彼はびっくりして
        Oh that's too bad. I'm sorry to hear that.
        と言いました。私は構わず続けます。
        だって私には1分間しか時間がないのです。

        ”日本では、毎日仏壇に線香とろうそくを供える習慣があり、
        遺族にお線香を贈る伝統的な習慣があります。

        しかしこれは現在のライフスタイルにマッチしていない。
        私はグリーフケアができる遺族の個性にあったギフトを
        あなたのろうそくは、日本人の好みに合っていて
        モダンで、香りにストーリーがあります。

        私は息子を亡くした時、あなたのろうそくをギフトとして受け取りたかった。
        だから私は日本にあなたのろうそくを輸入したいのです。

        しかし、いくつか困難があると聞かされました。
        詳しくお話をする時間をいただけないでしょうか。”

        言いたいことはたくさんありますが、そろそろ1分のはずです。
        自分のビジネス能力をプレゼンテーションするという意味でもそろそろ切り上げなければなりません。

        彼は時計を見ながら言いました。
        「申し訳ないけれど、今日はこれからディナーの約束がある。
        明日の午後にしてもらえないだろうか」

        明日。明日なら、日本からミプロの貿易アドバイザーさんがやってきて
        午後には商談のサポートをしてくださるはずです。

        「ありがとうございます。明日の午後2時はいかがでしょうか」
        「いいですよ。では明日の午後2時に」
        「お時間くださってありがとうございます」
        私たちは再び握手をして別れることになりました。

        忙しそうに去っていく彼を見送りながら、私はしばし呆然としてしまいました。

        そんな私を我に戻したのは、タンパから来ている彼です。
        どんっと私の肩をたたきました。
        「やったな。お前、すごいな!!」
        百戦錬磨のように見えた彼も興奮しているようで、言葉遣いが乱れています。

        「私、アポイントをとったよね」
        「ああ、明日午後2時だと確かに約束したぞ。
        明日俺はいないが大丈夫か?」
        「うん、明日なら私の輸入アドバイザーが日本から来てくれるの」

        いつのまにか騒ぎを聞きつけてブース中のスタッフが集まってきます。
        最低注文金額に悩んでいた素人くさい日本人バイヤーが
        大メーカーのオーナーとの約束を取り付けたのです。

        とっくに帰ったと思われたおじいちゃんスタッフまでやってきて私に聞きます。
        「おまえさん、いったい年はいくつなんだ」
        「38歳よ」私が胸をはって答えると、スタッフ全員でコントのように
        「なんだってぇーー?!」とのけぞってくださいました。

        私はパンフレットやサンプルを沢山いただいて、Bobのブースを後にしました。

        最後にBobが声をかけてくれました。
        「交渉は難しいと思うが、きみは大きなチャンスを手にした」
        「ありがとう。また明日」

        難しいのは重々承知。
        「これでジ・エンド」と思われた可能性が復活したのです。
        私の一世一代のエレベータースピーチは成功したと言ってもよいでしょう。

        すぐにホテルに戻って明日の作戦を練りたいところですが、私には行くべきところがありました。
        グリーティングカードの会社のブースです。


        青りんご青りんご青りんご青りんご

        ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議へ続きます。


        ※時系列的には「ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください」の後半部分へ移動します。

        東京ギフトショー

        2014.09.09 Tuesday

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          第78回東京インターナショナルギフトショーに行ってきました。


          私が東京ギフトショーに初めて参加したのは2013年の2月。
          以来、年に2回の開催にもれなく参加しつづけ、今回で4回目の参加となりました。

          前回入手できなかった、数量限定で無料配布される「バイヤーズガイド」も無事ゲット。


          今回は数時間しか滞在できなかったので、お目当てのセクションをピンポイントで回りました。

          海外、それもアジアからの参加者が増えた!というのが第一印象。
          東京ギフトショーもいずれはパリのメゾン・エ・オブジェのようになっていく予感がします。

          そして実店舗のないネットonlyショップにも取引を許してくださる企業が増えてきたのを体感。

          そして「あれ、あの企業さんは今回参加していないんだ」と意外に思うことが多々ありました。

          大企業といえども毎回出展される訳ではないのでしょうし、
          常連だった企業様も方針変換などで出展を取りやめることもあるのでしょう。

          見本市は本当に一期一会なのだと感じ、改めて今までの数々の出会いに感謝しました。

          創業補助金の完了報告

          2014.06.27 Friday

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            創業補助金の完了報告がようやく終わりました。

            昨夜(というか今朝)の朝5時までかかってラストスパート。
            当初予定よりかなり使用金額が減ってしまったのですが、
            それでも書類は厚さ2cmを超えました。
            完了報告書

            反省点は多々あります。

            申請は、1つの購入ごとに「仕様書」「見積書」「発注書」「納品書」「請求書」「支払いが確認な資料(領収書など)」を揃えるのが基本。
            私は「書類をいっぱい揃えなければならない!」とテンパってやたら見積書をもらって来てしまいました。
            そのくせ購入の決断ができなくて、そうこうしている間に見積書の有効期間が切れ、
            そのままお蔵入りになった購入案件も。

            そして、今回の補助金は「申請後認められれば、使った金額の2/3が後で帰ってくる」
            というタイプだったのですが、私はこの2/3マジックに惑わされ
            「これは本当に必要か」
            「万が一2/3が戻ってこなくても買うべきか」
            「いやせっかくなのだから、この期間に買ってしまった方がお得なのでは?」
            「本当に申請が認められるか不安」
            と堂々巡りをしてしまうこともしばしばありました。

            事業のスピードアップを図るなら、自分の意思決定のスピードを上げなければならない
            と痛感しています。

            しかし、創業直前のタイミングでこの補助金が公表されたのは幸運なめぐりあわせでした。
            そして、補助金採択事業の事例紹介として取り上げていただけ、
            ショップへのアクセスが上がったのもありがたいことでした。

            このご恩を返すためにも、「もっといっぱい売って、人を雇って、いっぱい納税する」
            を早く実現したいです。


            この創業補助金の本年度バージョンは6/30が締切。
            締切1営業日前の今日は、受付にたくさんの人が並んでいました。

            私がこのブログを書いている今も、申請書をブラッシュアップされている方も多いのでしょう。
            締め切りまであと3日弱。
            悔いのないようがんばってください!

            ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ

            2014.06.09 Monday

            0
              お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その2です。

              【今までのお話】
              ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
              ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
              ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー

              赤りんご赤りんご赤りんご赤りんご


              私は息を切らせながら心優しきおじさま達が運営するブースにたどり着きました。
              そんな私を見て、顔見知りのおじいさん販売員はびっくり。
              接客中だったのに商談を中断して私に声をかけてくれました。
              「おや、ジャパニーズガール、こりゃまたようこそ。
              今日は一体どうしたんだね?」

              私はメーカーのセールスマネージャーの彼が来る前に責任者に話を通しておかなければと思い、焦りながら説明しました。
              「Bobはいますか?私は今すぐに彼と話をしたいのです。
              このキャンドルのメーカーのセールスマネージャーと会って」

              私の表情から何かを察したのでしょう。
              彼は受付にいる案内嬢を呼んで、Bobを呼んでくるよう指示しました。

              そして別のスタッフを呼び
              「わしゃ自分のお客さんがいるから、あとは彼と話しなさい」
              と引き継ぎをしてくれました。

              ありがとう。

              私は商談の邪魔をしてしまったことを彼と彼のお客様に詫び、
              今日はじめて会うスタッフさんに自己紹介をしました。


              赤りんご赤りんご

              「初めまして。私は日本から来ました。そして日本に住んでいます。

              ('I came from Japan.'とだけ言うとルーツなのか住居なのか識別がつかないようで
              'Do you live in Japan? 'と聞かれることが多かったので2日目から付け加えるようにしていました)

              私はこの見本市の初日にこのブースに来て、このキャンドルをとても気に入りました。
              でもOpen Price(最低注文金額)が私には少し高くて、迷っていたらBobに’できるさ’と励まされました。

              そして今日先ほど、臨時出展ブースでもこのキャンドルを見つけて、日本に輸入にできるか聞いたのです。
              すると彼はメーカーのセールスマネージャーで、日本への輸出はイギリスの代理店を通さなければいけない。
              Bobの代理店は日本へキャンドルを売ることを禁止されていると言いました。

              私はトラブルを望みません。
              Bobに、日本へ輸出できることを約束していないと言って欲しいんです」

              赤りんご赤りんご

              なんとか伝え終わった時、どこからともなくBobがやってきました。

              「ああ、Bob!
              私はトラブルを起こしてしまうことを恐れています。
              私は今日、このキャンドルメーカーのセールスマネージャーに会いました。
              彼は、えっと」

              私が言葉に詰まっていると、先ほど相手をしてくれたスタッフが、
              早口の英語で手短にBobに伝えてくれました。

              Bobは言いました。
              「わかった、わかった。でも何も問題はない。
              まずは落ち着いて。そこに座って。そうだ、コーヒーとクッキーはどうだい?」

              私はここ数日間で、スタッフは何よりもブースの雰囲気づくりに心を砕いていることを学んでいました。他のお客様もいる前で取り乱してもらっては困るのでしょう。

              とにかく伝えるべきことは伝えたし、彼に従ってコーヒーをいただこうかな、と思った瞬間、
              あのセールスマネージャーがやってきました。

              彼はすぐに私を見つけ、不敵に微笑みました。
              「やあ、また会ったね」
              そしてBobに向かって「Bob、きみに話がある。契約についてだ」と言いました。

              私が聞き取れたのはここまで。
              すぐに2人は激しく言い合い始めました。身振り手振りが大きく、どんどんお互いの顔が近づいてゆきます。英語は全く聞き取れません。でも、よくない雰囲気であることは確かです!

              「ちょっとまって、誤解があります」
              私が口を挟もうとすると、先ほどのスタッフが私の前に回り込みました。

              彼はウインクをしながら、ことさらゆっくりと話します。
              「マドモアゼル。折角ですから私たちのキャンドルをゆっくりご覧になりませんか?
              私はこのキャンドルを3年間売っています。
              このキャンドルに関することなら、なんでも質問に答えられると思いますよ」と。

              むむむ。
              私はここを立ち去った方がよいようです。
              私は深呼吸をしてから、彼に従うことにしました。

              「それはいいアイデアですね。お願いします。
              けれど、私はマドモアゼルでなくマダムですのよ。ムッシュー?」

              「おや、それは失礼しました。マダム、こちらへどうぞ」
              彼はにやりと笑いながら私をエスコートし、大きな棚の向こう側へ案内してくれました。

              棚の向こう側へついた私たちは、顔を見合わせて笑いました。

              「ムッシュー、ありがとう。
              あなたのおかげで最悪の事態は避けれたみたい」

              「どういたしまして、マダム。
              でも私はまだあなたの名前も知らないんですよ」

              そういえばそうです。私はあわてて名刺を差し出しました。
              彼も私に名刺をくださいます。

              私は改めて自己紹介をし、お詫びをしました。
              「私は日本でグリーフケアのギフトを販売する仕事をしたいと思い、起業したばかりです。
              昨年まではITエンジニアでした。
              私はこの業界についてよく知らないし、アメリカの見本市に来るのも初めてです。
              私のせいで、あなたのボスの立場が悪くならなければよいのですが」

              「へぇ、そうだったのですか。でもあなたの対応は適切でしたよ。
              彼は今、OpenPriceについて話しただけだとマネージャーに弁明しています」

              私の相手をしながら聞き耳をたてているとは。なかなか有能なスタッフのようです。
              「そうなんですね。あなたがBobへ手短に話してくれたおかげです。
              ありがとう」

              一気に打ち解けた私たちはいろいろな話をしました。

              彼はフロリダ半島のタンパに住んでいるということ。
              海と太陽がきれいな街だそうです・
              そして、タンパでこのキャンドルの代理店をしていて、
              このアメリカズマートの期間中だけセールスの応援に来るのだそうです。

              (タンパはアトランタのずっと南。フロリダ半島の真ん中東側にあります。
              数日前までサッカー日本代表がキャンプをしていた土地です。)

              そして、このキャンドルについていろいろと教えてくれました。
              一番人気があるのは香り。定番商品の香り。
              クリスマスシーズンによく売れる香り。
              アメリカではキャンドルはキッチンやリビングで使う物だ。
              などなど。

              そして、このメーカーの代理店に対する数々の素晴らしいサービスを教えてくれました。
              OpenPriceは少々高いけれど、木製の什器が無料でサービスされること。
              アメリカ国内なら送料は全て無料で、どの代理店から買ってもメーカーから直送されること。
              そして販売店内を競わせサポートする様々なコンクールのこと。

              かなり完成されたビジネスモデルを構築している会社だと感じました。

              私はため息をついて言いました。
              「聞けば聞くほど魅力的なキャンドルと会社です。
              私もこのキャンドルを日本で売りたい。
              でも、私はイギリスの代理店を通じて買わなければならないのでしょうか?」

              彼は残念そうに言いました。
              「アメリカでは契約は絶対ですからね。
              それにセールスマネージャーの言うことを覆すのは難しいでしょう。
              オーナーの意向でも変えないない限り」

              アメリカ社会における契約の大切さは私も知っていました。
              私は、13年間アメリカ系のコンピューターメーカーで働いていたのです。

              「契約書に書いた期日は何が何でも守る義務がある。
              契約書に書いてないことを勝手にやる権限はない」
              そんなトレーニングを長年受けてきました。

              私がその難しさ崩せることができるとすれば、グリーフケアギフト事業にかける想いだけです。

              私は彼に起業の動機を説明しました。

              日本では、毎日仏壇にお線香やろうそくを灯す習慣があること。
              けれどろうそくには香りがなく、無個性であること。
              家族を亡くした時に、もっと個性のある線香やろうそくがあればよいのにと思ったこと。
              そして、このろうそくは私のコンセプトにぴったりだということ。
              などなどと。

              彼は私の話を、ところどころ質問をしながら、じっくり聞いてくれました。
              そしてしんみりと言いました。
              「それは素敵なビジネスプランだね。
              あなたが私のようにBobからこのキャンドルを買えるとよいのだけれど」

              その時、にわかに棚の向こう側が賑やかになりました。
              私と彼は顔を見合わせました。

              さきほどまでけんか腰だったセールスマネージャーとBobが仲睦まじく、
              小柄な若い男性をうやうやしく囲みながらこちらへやってきました。

              「ようこそおいで下さいました」
              「売り上げは順調ですよ」
              「今日は日本からのバイヤーも来ているのです」
              「ええ、我々のキャンドルに興味があるとかで」

              セールスマネージャーとBobは笑顔で話しています。
              先ほどまでの険悪な雰囲気は一体どこへ?!
              そしてこの男性は何者なのでしょう?

              私とスタッフが戸惑っていると、その若い男性が私に握手を求めてきました。

              顔を見ると、文句のつけようがないイケメンです。

              彼は何か英語で自己紹介したようなのですが、私は聞き取れませんでした。
              そして、彼ら3人はあわただしく商談へと戻って行きました。

              私は、ずっとついていてくれたスタッフに助けを求めました。
              彼はぽかんとpした顔をしています。

              「ねえ、あの人は一体なんだったの?」
              「Oh my God ! 彼はオーナーだよ!このキャンドルの創始者の息子で今のオーナーだよ!
              僕は3年間このキャンドルを扱っているけれど、今日はじめて会ったよ!!」

              えぇっ。あの若者がオーナー?!

              「本当だよ、僕が君にさっき渡したカタログ。
              この1ページ目に載ってるでしょ」

              分厚いカタログをめくると先ほどの彼の写真がサイン入りで載っていました。
              どうやら本当のようです。
              しかし彼はこの会社のオーナーにしては若すぎです。学生にさえ見えます。

              「君は正しい。彼は昨年まで大学生だったんだ。
              彼は3年間でこの会社をここまで大きくしたんだ。」

              なんとまぁ。そんな学生起業家がこの会社のオーナーだったとは。

              驚きましたが、驚いている場合ではありません。
              これって、大変ラッキーなチャンスなのではないでしょうか。

              私の頭には「エレベータースピーチ」という言葉が浮かびました。
              会社員時代に新人研修で習った言葉です。

              新人研修の講師はこう言っていました。

              ”常に自分の仕事の問題点を1分間で話せるようにしておきなさい。
              あなた達はI社の社員として、キーパーソン(自社の社長やお客様の偉い人)に突然会って話す機会があった際に、端的に課題を説明する必要があります。
              これをエレベータースピーチと言います。
              この業界には、エレベーターなどでキーパーソンと一緒に乗り合わせた際に手短に話し、抜擢のチャンスを得た人がたくさんいます。

              現実には、そんなチャンスが訪れることはめったにありませんが、この習慣を身に付けることによって常に大局的な観点から自分の仕事を眺めることができます。
              端的に自分の仕事の問題点と解決策を話せるように、日ごろから考える習慣を身に付けるようにしなさい。”

              ピカピカの無邪気な新人社員だった私は、この話を気に入り、
              通勤電車の中で「今の仕事の一番の問題点と解決策」と考えるのを日課にしていました。

              会社員時代にはついぞその機会に恵まれなかったエレベータースピーチのチャンスが、今私の目の前に。

              私はタンパから来た彼に相談しました。
              「ねぇ、私はオーナーと直接話をしたい。1分だけ時間をもらえないかしら」
              さすがの彼もうろたえます。
              「どうなんだろう。僕にはそんな権限はないし、彼はとても忙しい人だと聞いているよ」

              興奮さめやらぬ私たちが作戦会議をしていると、イケメンオーナーが一人でやってきました。
              今度は私にだけ握手を求め「先ほどは失礼しました。お会いできてうれしいです」とおっしゃいます。

              私はすかさず彼を見つめながら言いました。
              「私は、自分があなたのキャンドルを日本に紹介するのにベストな人間だと思います。
              私に1分だけ時間を下さい」

              彼は私の迫力に驚いたようで、うなずきました。
              「OK、話を聞きましょう」

              私の背後にいたスタッフが息をのむ音が聞こえました。

              私のエレベータ―スピーチの始まりです。


              赤りんご赤りんご赤りんご赤りんご 続きます。


              バイヤーズガイド@アトランタ
              アメリカズマートのバイヤーズガイド。
              私は毎晩ホテルでこの電話帳のように厚い冊子と格闘していました。